太陽光発電の普及が進む一方で、春や秋などの晴れた涼しい日は、昼間の電気が余りやすくなっている。せっかくつくった電気を捨てなくてもすむように、電力消費の「昼シフト」を促す取り組みに力を入れている。
東京電力ホールディングスの小売会社、東京電力エナジーパートナー(EP)は4月下旬、家庭用ヒートポンプ給湯機「エコキュート」を活用した実証実験を始めた。たいていの家庭は夜にお湯を沸かすが、実証では遠隔操作で昼に動かして、お湯を専用タンクにためておく。6月末までに約150世帯が参加する。
電気は需要と供給のバランスが崩れると、大規模停電につながるおそれがある。とくに春や秋の晴天時は、太陽光発電の電気が増える割には、エアコンなどの消費量が増えない。そのため、再生可能エネルギーの発電を強制的に抑える「出力制御」が増えている。
東電EPの実証は、電気が余る時に消費量を増やしたり、電気が足りない時には消費量を減らしたりする「デマンドレスポンス(DR)」と呼ばれるしくみだ。大手電力会社でつくる電気事業連合会によると、年約70万台出荷されるエコキュートのすべてでDRを実施すれば、今年度に見込まれる出力制御を15%ほど減らせるという。東電EPの担当者は「遠隔制御が広がれば利用者の手間もなくなる。DRを実行する確実性は増すだろう」と話す。
電力各社はこれまでもDRの…